不動産鑑定士 短答式試験の攻略法|行政法規だけ詰めれば受かる理由

短答式試験は、やることが2つしかない試験です。
「行政法規を詰める」「過去問を回す」。これだけ。
鑑定理論は論文対策を進めれば自然と短答合格レベルに到達するため、短答のために別途時間を割く必要はありません。
この記事では、短答式試験の構造を先に把握してから、合格ラインの仕組み・必要な勉強時間・教材の絞り方・過去問の回し方を順番に解説します。

目次

この記事でわかること

  • 短答式試験で「行政法規だけ」に集中してよい理由
  • 難易度の目安と、直前期に集中すべき本当の理由
  • 使うべき教材の絞り方と過去問の回し方4ルール
  • 独学vs予備校を「費用」ではなく「時間」で判断する方法

短答式試験の合格ラインは「7割」が目安

短答式試験は例年5月中旬に実施され、合格発表は6月下旬頃です。
科目は鑑定理論と行政法規の2科目で、各40問・1問2.5点の200点満点となっています。
合格ラインは概ね7割(140点)程度ですが、近年は上昇傾向にあり、令和4年度は75%とかなり高い水準でした。

ここで大切なのは、科目ごとに足切りがあるという点です。
「鑑定理論で稼いで行政法規は捨てる」という作戦は通用しません。
ただし、逆に言えばシンプルです。鑑定理論は論文対策を進めれば自然に短答合格レベルに到達するため、短答専用の時間はほぼ行政法規に投下すればいい。

短答対策=「行政法規だけ」でいい

鑑定理論は論文対策で自然と伸びる。短答のために別途対策する必要はない。行政法規攻略に集中する。これが最も効率的な配分

わるきん

鑑定理論をサボっていいってこと?それほんまに大丈夫なん?

ねこきん

サボるんじゃなくて、論文対策が短答の得点にもなるってこと。行政法規は短答でしか出ないから、そっちに時間を使う方が合理的なんだよ

つまり、短答のために鑑定理論の勉強を増やす必要はないんですね

ねこきん

そういうこと。やることを増やさない。これが短答対策の鉄則

短答式試験の難易度と必要な勉強時間

短答式試験の難易度は、体感としては宅建と同等程度です。
初学者であれば200〜300時間が一つの目安になります。
すでに宅建を取得している方は、都市計画法や建築基準法への馴染みがあるぶん、もう少し短い時間で合格レベルに到達できます。

勉強を始める時期は、試験の2〜3ヶ月前から集中して詰めるのが正解です。
理由はシンプルで、人間は忘れる生き物だから
行政法規は細かい数字・条文・例外規定の暗記が中心です。
半年前に覚えた内容を本番まで劣化させずにキープするのは、維持コストが高すぎます。
直前に一気に詰めて、記憶が新鮮なまま試験に臨む方が圧倒的に効率的です。

項目初学者宅建取得者
必要勉強時間200〜300時間150〜200時間程度
難易度イメージ宅建と同等宅建より少し楽に感じる
おすすめ開始時期試験年の2〜3月頃試験年の3月頃でもOK
わるきん

早く始めた方がええんちゃうの?余裕持ってやった方が安心やろ

ねこきん

行政法規は半年前に覚えても、本番には半分忘れてるよ。それを維持するコストの方がもったいない

直前集中の方が、記憶の鮮度が保てるということですね

ねこきん

そう!忘れることを前提に設計する。早く始めても無駄になる可能性が高い

使う教材は「予備校テキスト+過去問」の2つだけ

短答式試験の行政法規対策に必要な教材は、インプット用のテキストとアウトプット用の過去問集の2つだけです。
市販の問題集・答練・補助テキスト——これらは不要です。
教材を増やすほど、合格から遠ざかります。
中途半端に手を広げるより、1冊を完璧に仕上げた方が圧倒的に点が取れます。

テキストは独学の場合でも、資格予備校が出版している市販テキストで問題ありません。
過去問集は上下巻に分かれていることが多いですが、これをしっかり回し切ることが合格への最短ルートです。

教材は増やさない。それが鉄則

過去問10年分×5択=2,000個の選択肢。これを完全に仕上げれば合格点は十分取れる。新しい教材を買うなら、今ある1冊をもう1周する

わるきん

でも「念のため」ってもう1冊買いたくなるやん

ねこきん

その「念のため」が一番危ない。中途半端に仕上げた2冊より、完璧に仕上げた1冊の方が点が取れる

教材の多さではなく、やり込みの深さが大事なんですね

ねこきん

そういうこと。「1冊完全制覇」が最速ルート

合格を引き寄せる過去問の回し方【4つのルール】

勉強の配分はアウトプット9割・インプット1割が目安です。
テキストを読み終えてから過去問に入る、という順番は逆です。
最初に軽くテキストを一読したら、すぐ過去問に突入する。
分からない問題が出たらテキストに戻る。これが正しい順序です。
以下の4つのルールを守って回すと、効率的に知識が定着していきます。

STEP
ルール1:最低10年分を解く

過去問は最低10年分が必須。余力に応じて15年・20年と増やすと安心感が高まる

STEP
ルール2:5択すべての正誤を判断できるようにする

正解の選択肢だけでなく、残り4つがなぜ誤りなのかも説明できる状態を目指す。正解肢だけ覚えると本番の言い回し変化に対応できない

STEP
ルール3:忘れる前提で4周以上回す

1周目で覚えようとしない。忘れる前提で何度も回す。2周目は1周目から1週間以内が目安。3周目からはサクサク進む

STEP
ルール4:解答日と○×を記録する

日付と結果を記録し、○が3回続いたらその問題は卒業。「完璧にした」と実感できることがモチベーションになる

3周目あたりからは1問あたりの所要時間がかなり短くなります。
「4周は気が遠くなる」と思うかもしれませんが、2周目・3周目は1周目の半分以下の時間で終わるので、思ったほど総時間はかかりません。

「5択すべての正誤判断」が大切な理由

本試験では選択肢の組み合わせや言い回しが過去問から微妙に変わることがある。正解肢だけ覚えていると初見のアレンジに対応できない。すべての選択肢について「なぜ正しいか・なぜ誤りか」を説明できる状態にしておくことが重要

わるきん

アウトプット9割ってことは、最初から過去問やれってこと?テキスト飛ばしていいの?

ねこきん

完全に飛ばすのは難しいけど、1周サラッと読んだらすぐ過去問に入るのが正解。テキストを完璧に読んでから過去問、は時間の無駄

解きながら覚える方が、読んで覚えるより定着するんですね

ねこきん

そう。解いて、間違えて、テキストで確認する。このサイクルが一番速い

独学vs予備校|「費用」より「時間」で判断する

「短答は独学で突破して、論文から予備校を使おう」と考える方も多いと思います。
短答式試験の行政法規だけなら独学でも合格は可能です。
ただ、受験を「費用」ではなく「時間」で考えると、判断が変わります。

論文まで見据えると、鑑定理論の理解不足が積み重なる独学期間は、後になって補強コストがかかります。
受験期間が1年長引けば、その間の生活費・機会費用は数百万円規模になります。
予備校に早期から入ることは、費用ではなく「時間を買う」行為です。

比較項目短答から予備校短答は独学→論文から予備校
費用高い(予備校フルコース)やや安い(短答分を節約)
鑑定理論の理解度最初から体系的に学べる独学部分の理解不足が残りやすい
論文式への移行スムーズ基礎の補強が必要になることも
トータルの受験期間短くなりやすい長引くリスクがある
おすすめ度★★★★★★★★☆☆
わるきん

予備校代って何十万もするやん。短答だけ独学で節約したい気持ちはわかるわ〜

ねこきん

気持ちはわかる。でも、1年余計にかかったらそっちの方がはるかに高くつく。時間で計算してみて

短期間で合格する方が、トータルコストは低くなるんですね

ねこきん

そういうこと。「今の費用を節約するか」じゃなくて「合格を1年早めるか」で考えると答えが変わるよ

よくある質問

短答式試験は何月に実施されますか?

例年5月中旬(GW明け)に実施され、合格発表は6月下旬頃です

宅建を持っていると有利ですか?

都市計画法や建築基準法への馴染みがあるぶん有利です。必要勉強時間が150〜200時間程度に短縮できる可能性がありますよ

過去問は何年分やればいいですか?

最低10年分が目安です。余力があれば15年・20年と増やすとより安心です

行政法規の勉強はいつから始めるべきですか?

直前期の2〜3月頃から集中的に取り組む方が効率的です。早く始めても試験直前に記憶が劣化するので、直前集中が合理的です

短答式と論文式の難易度差はどれくらいですか?

体感では10倍ほどの差があります。短答は最初の登竜門と考え、まずはここを突破することに集中しましょう

まとめ

ねこきん

今日のポイントをおさらいしよう!

  • 短答対策はシンプル。行政法規に集中して、教材は2つだけに絞る
  • 直前期の2〜3月から一気に詰める。どうせ忘れるから、早く始めても劣化するだけ
  • アウトプット9割。テキストを読み切ってから過去問に入る順番は逆
  • 過去問は4周以上、忘れる前提で回す。1周目で完璧に覚えようとしない
  • 独学vs予備校は「費用」ではなく「時間」で判断する。1年早く合格する価値を計算してみて

短答式試験はやることがシンプルな試験です。
行政法規を詰める。過去問を回す。教材は増やさない。
余計なことをしないことが、最短ルートへの近道です。
まずは過去問集を1冊手に取って、今日から1問でも解き始めてみましょう。

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この記事を書いた人

金融機関から不動産鑑定士になった猫好きです。不動産鑑定業についてのリアルを発信しています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして。
    短答式の行政法規ですが、足切り点数は何点なんでしょうか?

    • あきらさん、はじめまして!
      お返事が遅くなり申し訳ありません。
      すいません、短答式の足切りについては年度によって変わると思いますので明確には分かりかねます…
      近年に比べて今年の行政法規はやや難しかったようですので低めに設定されるとは思います(今年は40~50点程度でしょうか)。

      なお、鑑定士の短答式試験に限って言えば、2科目しかないため、足切りラインにそこまで神経質になる必要はないかと思います。
      例えば、行政法規が足切りスレスレラインであれば、すでに合格が困難な可能性があります。
      TAC講評の合格ラインは鑑定理論75点、行政法規60点で合計135点予想です。
      行政法規の足切りラインを7掛けの40点位とすると、合格に必要な鑑定理論は95点必要な計算になってしまいますので。

      上位約3割が受かる試験ですので、足切りラインも合格点の7~8掛け位かと勝手に予想はしております。
      明確な答えになってなくてすいません(゚ー゚;

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